校長だより

3学期終業式

本日(17日)午前、令和6年度3学期終業式を挙行しました。校長式辞の後は生徒指導部長と保健部長の話。そして、表彰。今回は女子硬式テニス部・ジャズダンス部・陸上競技部・男子ソフトテニス部、そして芸術祭における音楽会・美術展・書道展の優秀者及び優秀クラスを表彰しました。最後に体育祭実行委員長から来年度の体育祭に関する呼びかけが行われました。みな、よく聴いてくれていました。

私からの式辞は次の通りです。「みなさん、お早うございます。進級おめでとうございます。先日、大学時代の先輩に会いました。もう退職されているのですが、以前より社会問題に取り組まれている方で、現在は京都でウクライナ戦争反対の活動に参加されています。その先輩から聞いた話です。京都市はウクライナの首都キーウと姉妹都市なので、この間のウクライナでの戦争にともない積極的に避難民を受け入れているそうです。現在、93名のウクライナの方が京都で暮らしています。その中の一人、ユリヤさんという女性の方の話をします。彼女はウクライナ北部のチェルニヒウ市の出身。歴史的な街で自然が豊かだそうです。両親と妹の4人で暮らしていて、幼い頃から絵を描くことが好きで、プロのアーティストになりたくて美術学校を卒業。イラストレーターとして生活されていました。ところが、2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻。実家から10分程度のところで爆発があり、火事に。雷の100倍ぐらいの音がしたそうです。スーパーに並んでいた方が13人撃たれて死亡。居合わせた両親は奇跡的に無事でした。ミサイルなどで昼と夜がわからないぐらいになっていき、実家の近くの穴倉で時間を過ごしたそうです。4人がやっとはいれる狭さでなかなか寝ることもできず、熱を出して三日間立ち上がることもできなかった。彼女は2015年に東日本大震災で被災した方の話を聞いたことがあり、家を失い愛する人を失った人がゼロから人生をやり直すことになった、そんな心の力を持っている日本人に興味を持ち、日本語の勉強を独学でしていました。戦況が悪化する中、国外への避難を決意し、ハンガリーとドイツを経由して日本に来られたそうです。ただ、母親は生まれ故郷を離れることを拒否し、もう二度と会えないかもしれないと抱きしめてさよならを言われたそうです。そんな彼女が今一番取り組んでいるのは、能登半島地震で打撃を受けた国の重要無形文化財「輪島塗」の復興支援。ウクライナへの関心が薄れていると感じながらも、『今は能登半島地震の被災者を支えたい。』と言われます。彼女はこう言います。『日本は二つめの故郷。日本社会の問題は私の問題で、日本の人々の痛みは私の痛みです。』また、彼女はこんなことも言われました。『お互いに国境、文化、言葉を尊重してくださいと世界の人々に感じてもらいたいです。お互いを尊重するとか、感謝することは平和に対して凄く大事なことになります。私の一番好きな俳句は小林一茶の俳句で[かたつむりそろそろ昇れ富士の山]。毎日一歩一歩進んだら或る日富士山の上にのぼる可能性があります。毎日平和のためにちいさな努力をそれぞれの人がすると、今のウクライナの状況、世界の状況は変わると思います。』皆さん、どうか世の中の出来事に注目してください。ネットニュースだけを見ていると、自分の狭い興味関心に関するニュースしか飛び込んで来ません。新聞を読んでください。皆さんの身近なところで、皆さんの知らないことがどんどん起きています。世の中のいろんなことに興味関心を持つ春休みにしてください。それがあなたの進路に関係してくるかもしれません。ある先輩が言いました。『自分は世界の出来事に関心が強いので、将来は国連で働きたいと思っています。だから、今は英語の勉強をして、大学は英語の力を伸ばせる学部を考えています』。これからの三週間、世界が大きく動くかも知れません。新聞やテレビの報道に注目していてください。そして、4月8日にはぜひ元気な顔を見せてください。」

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